揺れる

久しぶりに大学1年の春に片思いをしていたY先輩と会った。

 

 

わたしは2年の春に先輩との唯一の接点であったサークルを辞めた。

サークルは好きだった。誰とでも友好的に話す私はあまり女子と話す機会がない男性ばかりのそのサークルでは少なくとも表面上では受け入れられていた。履修をみてもらったり、教科書をもらったり、愚痴をきいてもらったり、遊んだり、勉強会したり、暇を潰したり、それはそれは充実した日々を過ごした。

しかし、新歓でいざ仕事をするぞといったときに大好きだった人たちと衝突してしまった。私は好きな人たちを嫌いになりたくなかった。女子の友人が一緒に辞めなかったのは誤算だったが、大好きな人たちは個人的に連絡をとればまた会えると思い、サークルを辞める決断をした。

 

それからY先輩とは会っていなかった。

好きだったことを忘れていたし、

頭に浮かんでくることすらなかった。

思い出したら気持ちが戻ってきてしまう気がしたし、彼氏候補になりそうな人がやっとできたところだったから、思い出してはいけないと思っていたのかもしれない。

 

友達がそのサークルの部会始まるまで一緒に話そうと教室に向かうとその先輩はいた。

いつもならゼミがあるからこないため、先輩がいることは珍しかった。

久しぶりに見た先輩は痩せていて、髪型も服も イマドキ になっていた。

 

みんなの前だということもあり、わたしと目が合うことはほとんどなかった。

彼女ができたんだろうな、その人のためにかっこよくなりたいと思ったんだろうな、

そう思うと、取り残されたみたいで悲しかった。

 

次の日の昼休みに偶然Y先輩に会った。

お互いがお互いを認識したときに、Y先輩が「はっ」と、目を開き、足を止めてくれたのが嬉しかった。

 

時間が1年の春に戻ったかのようにあのころのように話した。

春のことを思い出すとY先輩も覚えていてくれていた。

 

試されている…のだろうか?

 

気持ちが戻らないように成長したかどうか。

それとも…

 

まだ葛藤の狭間で…。