そう思いはじめた
きっかけはいくつかある。
ひとつは、高校の卒業のとき。
担任の先生からクラスへ向けた言葉。
『「豊かさ」とは食べ物や財産をたくさんもっている人のことではなく、人に分け与えられる人のことだ。今まで僕は自分の与えられる全てを分け与えたい、自分を超えてほしいと思って教師を目指し、君たち生徒と関わってきた。君たちにも与えられる人ではなく、与える人になってほしい。』
その真っ直ぐな言葉は、自分でも驚くほど胸に刺さった。自分を超えてほしいと思わないと人に教えることはできないとおもう。自分が苦労して得た知識を凝縮して、分かりやすく噛み砕いて、少しでも効率よく吸収してほしいと願える心こそが豊かさなのだと思う。
自分の幸せは人の幸せを願うことだと胸を張って言える人間になりたいとおもった。
もうひとつは大学1年のとき。
彼氏ができて、彼を癒そうとおもってマッサージを始めた。やっていくうちにマッサージに来るお客さんが疲れている人だということがわかった。
会社の愚痴を言える人がいない、家に居場所がない、独身で寂しい、自慢話を聞いてほしい、、、いろんな人が癒しを求めてマッサージに来た。
来る人が帰りはスッキリした表情で帰っていくのがいつもとても嬉しかった。
また頑張れそうって言ってくれる人もいて、来てくれた人がその人の関わる誰かに明日優しくできることが容易に想像できた。
彼氏もさまざまな悩みやストレスを抱えて、塞ぎこんでしまうことがあり、そんなとき、心の中をそっと暖かい手で撫でるように、彼の隣にいる私の存在を証明する行為がマッサージだった。少しでも肩の荷を降ろす手伝いができたらと思っていた。
インターンで出会った企業の人事の人に、その人の志望動機をきいて、子供が働きたいとおもうためには大人みんなが楽しく働くことだとおもったことをきいて、
私の今まで点だったものが繋がる思いをした。
大きな願いのなかに小さなたくさんの行動がある。
電車で両端が空いてるときに二人組の人が座ろうとしたら端に寄ってあげるとか、
写真を撮ろうとしている人がいたら撮ってあげるよと声をかけたりとか、
ひとつひとつは小さなこと。
その大きな願いを叶えるには、その小さないいことを積み重ねて、良い循環をつくっていかなきゃいけない。
私一人には世界を変えることはできない。でも、私が動き出したらきっといつか変われる。信じなければ叶うはずはない。