仮面同士の衝突

「自分の良いところを他人に言うのって恥ずかしくない?普通。」

 

 

そう言う彼のことを理解することができなかった。

どうしても。

自分の良いところを言うのに、なんで恥ずかしいと思うのか。

 

良いところを言うのは誇らしいことなのではないのか。

 

 

私なら自分の悪いところを人に言うことのほうが恥ずかしいと思ってしまう。

 

「良いところを言うのが恥ずかしい」と言うことのほうが恥ずかしいと思ってしまう。

 

 

一人で悩んでも答えは出なかった。

この思いを理解できる?あなたもそう思う?

そう聞いて回るうちに一人の少女が現れた。

 

少女は彼と同じような考え方を持っていたのだとおもう。

「誰かに否定されるのが怖いからじゃないかな。たとえば、数学が得意ですって言ってて間違っちゃって、他の人から得意じゃないじゃんって言われたり。否定されることを先回りして考えちゃうんじゃないかな」

そう彼女は言った。

 

驚きと納得だった。そう思う人もいるんだと思うことと、たしかにそう思っているのだろうと思った。

 

私はネガティブを選ばないし、ネガティブを恥じる。そんな人がかっこいいと信仰し、そうしない人を心のどこかで見下してきたんだとおもう。

 

私が彼のことを見下してることに彼は気付かせてくれた。そしてそんなことをしているうちに、彼と連絡がとれなくなり、会うこともなくなった。

ずっと怒らせた思ってた。私のことがめんどくさくなったのだと思った。嫌われたと思った。だからずっと謝りたかった。嫌な思いさせてごめんって言いたかった。

 

連絡とれなくなって2ヶ月半経って、急に彼から電話がきた。出ると彼ではなく私の友人の声で、私含めて仲良くしてた団体で集まってるから私も来いと言われた。

 

 

分からなかった。何を考えてるのか。全く。気まずいから行くか迷ったけど、行かないと物語は始まらないから行った。

 

カラオケした。歌うだけでほとんど彼とは話さなかった。でも、空気を悪くしたくなくてずっとニコニコして、気まずいことを隠して彼と仲良さそうに話した。彼はなんてことないかのような空気感を一緒に作った。

なにも起こらなかった。

わからないまま解散した。

 

今でもなんだったのかわからない。

これからどうなるのかもわからない。