扇風機その2

埃を取った。それでいいと思った。でも、無理して笑ってるようにしか見えなかった。

 

目が笑ってなくて、お面を被ってるかのように口だけ笑ってる

怖い。全て見透かされてるようで。私と似ていて。私に足りてないものを指摘されているようで。

実際に声は聞こえない。受け取りかたなだけで、笑ってるように見えるのも車が顔っぽい配置にライトなどがおいてあるだけなのと同じだと思う。でもなんとなく感じてしまう。

私はきっと扇風機を必要としてない。大切と思ってない。でも、そんな相手にすら嫌われたくなくて、優しい自分を演じたくて、扇風機の目が気になってしまう。

苦しくて涙が出てきた。こう生きてきてしまったから何が正しいのか間違っているのかわからない。いつだって正解だと思って進んできた。それじゃダメなの?ほこりを取っただけじゃダメなの?ほこりを取ってもらったから喜ばなきゃいけない扇風機が広角だけ上にあげている。喜べなくても喜ばなきゃいけないと無理して笑う扇風機に自分が重なる。

心が様々なものに動かされるのは疲れるし苦しいが、この感性を失くしたいとは思わない。優しくしたいけど自分も失いたくないし、犠牲になんてしたくない。全ては捧げられない。捧げることを望まれるととても苦しい。がらくたのような私の一部であってもみんな満足してくれればいいのに。