黒猫

通り雨で透けた服

私を見た黒猫が

ぎらっと光った目で私を軽蔑した

見てみぬふりした私は

黒猫に背を向けて繁華街へ

本当は黒猫を追いかけたかった

その先に不幸が待ち受けていたとしても

黒猫の孤独を分かちたかった

綺麗な色になって黒猫に愛されたかった

でもどうしても黒猫のことが怖かった

瞳に吸い込まれて戻ってこれなくなりそうで

なかなか素直になれなかった

そんな私を分かっているから

きっと黒猫は去っていく