不感の湯

家庭用の浴槽に7割くらいで張られた35℃のお湯。

 

恐ろしいほど感覚を感じないぬるま湯に浸かる。

漬かっていないところに風が当たり寒くなり、肩まで浸かる。

漬かると外に出れなくなる。

 

熱ければ芯まで温かくなり外気の冷たさも気にならないし、長く浸かると逆上せてしまうから簡単に上がれるのに。

 

温かさを感じないくらい当たり前になってしまっているから、上がった瞬間に寒さで凍えてしまう。

それは長く漬かれば漬かるほど上がれなくなる。

 

ありがたさが感じられなくなって、熱いお湯に浸かりたくなる日が来ることも、

熱くて逆上せたときに、35℃のお湯の良さに気付いてまた戻りたいと願う日が来ることも

その時にはもうないことも

 

フラグが立っているにも関わらずそのままフラグを回収するために何も考えずに進みかけている状態だということも

 

分かってる。

今はそれでもいいや。と思ってる。