毒ガスの中の植物

光も浴びて、水も与えているのに枯れかけてる植物がどうしても私と重なって仕方なかった。

 

今の職場は不満と言う程の大きな不満はない。水を与えられないとか、日光が当たらないとか、そういう直接目に見えるところの不自由さはない。

 

ただ、毎日微量の、有毒ガス漏れが部屋中の酸素を少しずつ少しずつ侵食していく。

体内から排出されることのないその毒は周りに気付かれることなくゆっくりゆっくり私を蝕んでいく。

毒ガス自体に匂いも味もないから最初は蝕まれていることに自分すら気付かない。そして一通り体内に行き渡ったところでやっと体に異変をきたしていく。

アザのように皮膚に色がつくわけでもなければ、切り傷のように血が出ることもなく、ただ、臓器や血管などの体内の一番機能する器官が汚染されていく。

様々な機能が低下して、感覚がどんどん麻痺して壊れていく。視界から色が褪せていく、好きだったはずのご飯が美味しくない、何してても心が苦しい、楽しいが分からない、楽しいが分からない、、、。

 

優しいお兄さんたちがどしたんって話を聞いてくれる。いつだって等価交換。私の欲しいものは私の犠牲と諦めでしか手にはいらない。いつか報われるって同情してくれたあの人はもういなくなった。こっちがどれだけ与えても我慢しても報われることはないのに、こっちが欲しいものには代償が必要。いつかは来ないまま色々終わって消え去る。私ってやっぱり生きるの向いていないなぁ。どうせ中学生で終わるはずだった命が、どうせ23才10月で終わるはずだった命が、無理やりいろんな形で拾われて延びてきたけど、元々の寿命はきっと中学生だったから、頭も体もそれ以上に生きる設計で作られてないんだ多分。

あの頃からずっと生きるのが下手くそなまま、それを隠すのが少しできるようになったりはしているけど、私は生きるのが下手くそで、苦手。

未来に希望もないくせに生き延びるために生きてるだけの自分が惨めで醜くて大嫌い。

人が嫌いなのに人に期待して、なのに本物の優しさをきっと私は遠ざける。

育つ気配がもうないのに腐って溶けたりもしないから自分自身が毒になっていくのをただ見過ごすしかない。