戻るとかじゃなくて振り返る

恋しくてすがりつくわけでも、この文章をその相手がどうせ読んでくれるからその相手に何かを伝えたい訳でもないけど、その相手のことを思い返す。

 

彼も私も疲れはてて、お互いに継続力はなかったけど、ちゃんと好きだったし、彼自体を嫌いにもならなかったなぁと。

ふとしたきっかけから連絡するようになった最初、無理をしてでも私に付いてきてくれた。私に付いてきてくれて、私が連れていきたいと思える人なんてこの世に数えるほどしかきっといなくて、彼はその中の1人だった。

 

今まで付き合った人数を聞かれたことは何回もあるけど、その度に、数に入るか入らないか分からない人たちを思い返して、返答に困っていた。

でも、なんかふと、彼とは期間は短かったし、結局繋がったりもしなかったし、他の数に入らない人たちと比べて会った回数とかそんなに変わらないかもだけど、でも、彼だけはちゃんと付き合った記憶の記録に残るなと。なんか上から目線みたいな言葉の言い回ししかできないけど、気持ちは上目遣いで思った。

 

私はお母さんに周りの人間関係をあっけらかんと話す。

そりゃ貞操の話は出さないけど、私がその人に思ったこととか、嬉しくて誰かに言いたくなるような話とか、性格の違いから不満に感じたこととか、それはもうなんでも。

でも、不満でも惚気でもお母さんに話す時間が長ければ長いほど、私はその人のことを考えてる証拠で、だから、最初は特徴をあだ名としてお母さんに紹介していた人も、たくさん話すうちに名前になっていく。なんならお母さんもその人のことを名前で呼ぶようになっていく。その数少ないお母さんの名前認知から考えても、君は確実に私の彼氏だったと言い切れる。

 

私は環境が変わると今までの生活を維持できなくなる性格だから、基本的に一年以上人と仲良くすることができない。これは最近気付いた。だから君と別れてしまったのはいたしかたないことだったのだけど、環境が変わらずに別れてしまった人もいたからそれらは多分合っていなかった人だったのだと思う。

あの状況じゃなかったら君とは出会ってなかったのは間違いなくて、でも環境が変わらずに生きていく選択肢は(今の給料安すぎて辞めなきゃよかったと思う日もあるけど)たぶんなかったから、君と付き合い続ける道はきっとなかったんだとおもう。長くて短い夏休みのような日々。それはそういうものだったのだと思う。

昭和の薫り漂う、見てるだけでも恥ずかしくなるような若くてフレッシュでロマンチックでイタくて汚くて不安定で安っぽい私劇場に付き合ってくれる彼は本当に変わってて優しい魅力的な人だった。

全て美化されて良いところしか見えなくなって彼とまた付き合いたいとかそんな浅はかなものではなくて、その頃にはその頃なりの不満がもちろんあって、別れようと重い口を開いて切り出した言葉の意味は忘れてはならない部分ではあるのかもしれない。

でも、私の頭の中だけで思い返すものくらい、少し妄想で都合よく脚色されていたとしても構わないよね。

だから、ありがとう。君は今でも妄想のオカズだよ。これを気持ち悪いと言うような人じゃないと思っているし、これは私なりの褒め言葉だから悪く受け取らないでほしい。なんなら君も思ってくれていたらいいな。なんておこがましいか。

今日はこれからフィットネス行って部屋の掃除でもしようかな。

ちょっと毒が抜けてきたから。