私は面白くない。
面白い人生を歩んできた訳でも、
壮絶な人生を歩んできた訳でもない。
恵まれた家庭に生まれて
恵まれた環境で
なに不自由なく
それなりに一般的な人生を歩んできた。
生きていくために生きたことがない私に
エピソードなんて特にない。
痛んだことがないから共感力も乏しい。
戦ったこともないし、どん底をみたこともないから、女としてのプライドも負けん気もない。
本当の優しさも情も受け入れる心もない。
自ら厳しい環境に入る勇気もない。
何もない私の、何もできない私が、
大変だったんだね
なんて薄っぺらい言葉で
ろくに共感できないのに、
なにもしてあげないのに、
自分の興味本意で話をあれこれ聞いて、
分かった気になって。
でも、ただ、仲良くなりたかった。
それだけなんだ。
少し烏滸がましいけど、
少しでも、ささくれほどの傷だけでも、癒してあげたかった。
自分のことは棚にあげて、自分の都合いい優しさだけあげて気分よくなりたかった。
申し訳ない気持ちと、恥ずかしい気持ちと、この感情をどうにかする方法がわからなくてもどかしい気持ちでいっぱいで
情を持ちたい自分と傍観を望む非情な自分が水をかけあって心の中を暗い色で掻き乱している。