シャンゼリゼ

一人で帰る金曜日。

会社の人はみんな誰かと飲みに行く。

予約の時間まで会社でわざとらしく待つ人、あからさまに団体でそそくさと帰る人、

そんな中で私は一人で会社を出る。

 

今日はずっとアポが入らなくて、しかもかけ先が渋いところが多くて、知らんおじさんに怒鳴られて怒られてで泣き泣きの1日だったが、最後の最後、めっちゃ意欲的なおじさんに当たれて商材を面白そうと言われてアポが入って、めっちゃ嬉しかった。

いい気持ちで仕事を終えられて、1日の気持ちがジェットコースターみたいで心がなんかよく分からなくなる。泣き泣きで元気がでなかったら直帰睡眠コースだけど、アポ入ったからちょっと活力が沸いてきて、ご飯でも行きたいなぁと思ってきたりもする。

 

さらに、周りが楽しんでるポーズを取ってると、なんか負けたくない。LINEを開く。

「今日空いてる?」

まぁ、そんな声も虚しく。

(無理に呼べば来てくれそうな人は何人かいたけど申し訳無さが勝つからなかなか呼べない)

 

そのまま帰りたくなくて、メイクを直して一人でネオン街を練り歩く。

良さそうなお店でご飯とお酒を飲んで、二件目を探すために気持ちよくお散歩。

探せば探すほど見つからないのが性で、最寄り駅までついてしまう。

 

最寄り駅に扉が3センチ程度空いた1件のbar。オープンと看板はついてて、客はいなさそうだが、お店の人がどんな人かは見えない。

イケメンバーテンとかだったらやだなぁとか色々思い巡らしていたけど、ええいと入ってみると、すごく一般的なおじさん。

bar行ったことない感を全面に出しておすすめをいただく。そのあと店員さんと話しやすくする私なりのテクニック。

功を奏し、おじさんとダラダラと話すことが出来た。

途中で清竜人のようなダンディでおしゃれなお兄さんが入ってくる。常連さんのようで、店員さんと仲良く話してる。私も店員さんと仲良くなったからそのお兄さんとも少しずつ話せた。トントン拍子だ。

そこにお姉さん2人がやってきて、みんなでお話した。みんな私を若い可愛いともてはやしてくれるし、酒の席に集まる人はやっぱり面白い人たちで話が上手いし関係性を作るのも上手い。大人であればあるほど。

閉店の時間になり、連絡先を交換するわけでもなく、「またここのbarで。」と解散する。最寄りだから終電も気にしなくていいのが良い。みんなが私の居場所を作ってくれてるみたいで、私も私の居場所を作っていて、そこが奇跡的で再現の確率が不安定だからこそ愛しい。

儚い関係は脆い反面、さらに素敵な出会いの可能性もあるのが魅力。

自分が変わりゆくのだから、変わらないものなんてそんなになくったっていい。

その時の自分が関わりたいと思った人がその時の縁なのだから、切れたらそれはそれだし、繋がりたかったら繋げばいい。

 

それほどまで今回の縁は楽しかった。同時に、楽しかったことを報告できる人がいることも私の居場所。よかったねって言ってくれて、話を聞いてくれる人がいるから、一人の家に帰ってきても、一人じゃない。そんな人との縁も始まりはよく分からない儚い縁で、それが今は大きな支えになってる。

縁が薄れてしまうタイミングなんていつもいつでも覚悟しているけど、今は繋がってる線をありがたく使わせてもらう。