みかんちゃん(仮名)

芸人の彼が相方さんと街に溶け込んで、彼の友達(みかん色の髪でみかんを持っていたのでみかんちゃんと呼ぶ)と私がエディオン難波本店に取り残された。

気まずそうに、少し話して、お互いにこの後の予定がないことがわかったので、茶でもしばきますかと勝男という低価格大衆居酒屋に入った。(お茶とは?)

髪色が明るくて、化粧っけがあまりなく、サバサバして服が可愛いかったから、きっと仲良くなれるだろうなと思った。

5時くらいからいろんな事を話して、気づいたら2hで退店の時間になった。もう一件いくかとみかんちゃんが言ってくれて、難波から歩いてグリコを通って心斎橋駅へ。そこから彼女のおうちがある出町柳駅までビュンっと。近くのきゅんとという富山料理の居酒屋さんに行って飲む。隣のおじさんがみかんちゃんの[自分で葉をフィルムに巻いて吸うタイプの煙草]を見て珍しいねと思わず話しかけてきた。そこからご飯も日本酒もご馳走になりながらおっちゃんとか私とかの恋愛の話をメインに酒を進める。

0時をすぎて安いお会計を済ませ極寒の屋外に出る。いつまでたっても話は尽きず、温かいお茶を買ってもらい公園で少し話すことに。仕事をしてから体に不調が出てたことや、それでも芸人の彼と頑張ろうと決めたから一生懸命やってきたことや、自分がなりたい自分からズレてきてることや、それを踏まえて芸人の彼には私の決断を前向きに捉えて欲しかったことなど、最後の最後に一番ドロドロとした溜まっていたものが形になって吐き出された。

全て出たところで寒い中放り出すのは心が痛むからとみかんちゃんが泊めてくれた。彼氏さんがエアコン×加湿器×温かい毛布の最高な部屋を準備してくれて、もらったみかんを食べて眠りにつく。

朝10時頃に目が覚めて、メイクアップと片付けをしてみかんちゃんにLINEすると、朝ごはん食べてく?と。お言葉に甘えてリビングに行くと彼氏さんもいて少しご挨拶を。芸人の彼とルームシェアで一緒だったから彼氏さんも彼を知ってて、彼について話したら打ち解けて話すことができた。

朝ごはんを三人で食べて、みんなでルームシェアしてた家が近くにあると教えてもらい、最後に三人で記念撮影をして優しさ溢れる清潔感の塊な家を胸いっぱいになりながら出る。

彼女も彼女の彼氏さんもすごくフラットな人だった。軸が太くあって、その軸の中はズラさない、軸の外なら許容する、そんな彼らの人生のルールみたいなものが明確にあって、苦しみ、楽しみを大きくせず、そのままの寸法で味わってるような人たち。二人とも髪が明るくて、アーティスティックな部分が多いから強くて面白くてしなやかなのだろうなあとかもおもった。新しい友達ができて、すごくすごく楽しかった。