すごい人と出会った

出張マッサージで呼ばれたのは港区の夜景が一望できるガラス張りのマンションの高層階。場所についても住人用、宅配用、客人用と入り口がたくさんあって、どこから入ればいいかわからなくて、お客さんにメッセージを入れる。

自動ドアが開いてエスカレーターを登って奥に進んで部屋番号を押してロック解除してもらってエントランスに入ってロック解除してもらって、たくさんあるエレベーターに乗って、ついたらまたロック解除してもらって部屋のチャイムを鳴らす。

全く謎はないけれど、謎解きをクリアしてるみたいに開く扉が楽しくて自然とワクワクした。

マッサージは気持ちいいって言ってくれてずっと楽しく話してたから60分なんてあっという間だった。

その後お返しとかいってマッサージしてくれて、変なところ触ってこないかヒヤヒヤしたけどそんなこともなく、スポーツドリンクをもらって飲んだ。

おじさんは商売道具の電子ピアノを弾き始めた。インストみたいなメロディのない音楽はそれはもう素晴らしくてテキトーに弾いてるって言ってたけど今の気分に適当する素敵な音楽だった。

なんか弾いてみてとかに即興の曲引いてみたらチャレンジ精神がよかったみたいで、調子に乗ってたくさん弾き返してくれた。それっぽい伴奏に私が自由にメロディを弾くみたいな遊びとかも付き合ってくれて、私の陳腐なメロディが壮大になって気持ちよくて楽しかったり、私のイタくて自由でナチュラルな価値観を全面肯定されて気持ちよくなったりして楽しかった。

超大物から私は普通の人間じゃないって言われたのも、俺と似てるから大物になるに違いない、なんならもう大物になってるって迷いなく断言されて、道は王道ではないなと元々気付いてたものの踏み出せない私の背中を強めに押された。

連絡先こそ交換し忘れた(交換しようと約束してたのに忘れた)けど、また会える気がしてるし、職を手放して一番ちょうど良いタイミングに出会えて背中を押されたからきっと神に愛されてると強く思う。

表現者の中で、いろんな表現の仕方があるなかで、歯車が噛み合う場所をこれからであえるって確信してくれたから、私も確信する。