旧私像

大学一年生の頃は自分のことが好きだった。今でもその頃の自分はすごく憧れの存在だった。

ドラマの主人公で世界の中心で悲劇も喜劇も全てに酔いしれていて、周りとの関係が上手くいったりいかなかったりするのも物語の一部でしかなくて、その頃の私は何があっても「最強」だった。

 

それから少しずつ勢力は落ちていったけど、大学卒業まで強かった。だから大学時代に仲良くしてくれた人からは私は強いと思われてる。もちろん弱みを見せなかったわけではないけど、そんな弱みさえも周りの助けで乗り越えてきたことが「強さ」になっていった。

 

今の私はどうだろう。赤と黄色の楓の葉が似合う、明るくて強くて繊細な人間になれているだろうか?

他人に酷いことをしたり、暴言を吐いたりはしない穏やかな人間を演じることはできていても、「自分が憧れる自分」になれているだろうか?

キラキラしてて、弱い部分も愛しくなるほど儚くて、進み続けることに躊躇わない現実的に理想的な自分になれているだろうか?

 

どれだけ行き急いでもそこに自分がついてこなければ意味ない。二人三脚、心も体も結果も全てが一緒に進んでいかなければ。どれかだけが先走っても上手くいかない。

歯車を噛み合わせるのが一番難しいのは分かっている。

でも、動き出した心に遅れないように他も一緒に廻れ。大丈夫、まだ戻れる。無邪気な自分に。楓の似合う元気な私に。大丈夫、まだ戻れる。まだ、まだ、、、。、